Kouda-kikaku ( 幸田企画 )

 

Kouda-kikakuとは

2020年。蔓延した新型コロナウイルスの影響を受け、⽇本だけでなく、世界中の⼈々の⽣活が狂い、演劇のあり⽅についても⾊々と考える機会となりました。

そのコロナ禍の情勢に対応すべく、少⼈数による短編作品を制作・上演し、映像化して配信やDVDにてリモートにて観劇いただくため、幸田友見が立ち上げた企画団体が『Kouda-kikaku』です。

再び訪れるコロナの⼼配のない⽣活においても、変わらず演劇を楽しんでいただけるよう。模索しながら、作品をお届けしていきたいと考えています。その⽴ち上げ企画として、『能GEKI』を企画しました。

 

能GEKIとは

室町時代から、途絶えることなく演じられてきた「能」。能は謡(歌・台詞)と囃⼦(楽器)とが⼀緒になって演じられる歌舞劇で、演者は様式化された簡素な動きのみで⼈物たちの感情を表現し、物語が進みます。

現代の演劇と違うのは様式であり、感情を演じるという点においては共通しているのです。同じならば、⼀緒にすることができるのではないか?ということで⼀緒にしてみた…。それが『能GEKI』です。

能のストーリーを体感しながら、現代の価値観と通ずるもの、または現代の価値観とは違うものを読み取り、違うからこそ分かる感情や背景を具現化してみようと試みた作品です。『能GEKI』は、実際の能とはストーリーが若⼲異なります。違いは、実際に能と⾒⽐べて、感じて頂ければと思います。

 

Kouda-kikaku紹介動画

 

能楽との出会い、新しい形の誕生、そして未来

私が能を知ったのは14年前、27歳の時でした。⽇本に⽣まれ、⽇本に育ちながら、⽇本の伝統芸能、ユネスコの無形⽂化遺産に登録された能を、⼀度も⾒たことがありませんでした。本来なら「それで感銘を受けて…」などと書くのでしょうが、そうではありません。あんまり動かず、顔はお⾯(正しくは⾯)で隠され、⾔っている⾔葉も聞き取れず眠くなりました。と⾔うか、寝ました。失礼な話ですが、よく分かりませんでした。そういう⽅は多いのではないでしょうか。勉強不⾜と⾔われればそうなのですが…。

演劇を通して、能楽を⾊々と勉強していくと、謡の内容がなんとなく理解できるようになり(わからないところはまだまだ沢⼭あります)笑いどころもあることに気がつきました。意味がわかるようになると楽しみ⽅もわかってきます。

説明の少ない中でも、個⼈の想像⼒で補い、物語を構築していく。脚本作りに関して興味を持ち始めたのもこの頃でした。と同時に、⾔葉がもっとわかれば、もっと沢⼭の⼈と内容を分かち合えるのに、と思うようになりました。当時は伝わっていた⾔葉も、現在では⾔葉が変わり伝わらない。では現代の⾔葉で表現すればいいのではないか…これが今回の、能GEKIの原案でした。

しかし、ただ現代語訳すればいい訳ではないことにすぐに気がつきました。それは、時代が移り変わり⾔葉だけでなく、価値観や社会の制度も⼤きく変化していたからです。当時信じられていたことも、今では科学によって解明され、沢⼭のことが証明されています。当時の事と割りきって進めることも出来ましたが、やはりただ現代語にするとなんとなく違和感が出てきました。(これは私の価値観ですので⼈によるものと思います。)

そこで、物語の本質を捉え、私の思う現代の価値観で描いてみる事にしました。能の本来のストーリーを描きながら、新しい物語にするべく、能を踏襲して本質を絞り、説明は出来るだけ省く、舞台装置をなくし、演者の⾁体表現を最⼤限に活かし、演者をアートのように表現する。こうして能GEKIができあがりました。

能GEKIは、私が執筆し、役者が体に落とし込む際に、もっと違うものに変化します。そして、この先何回も上演していくにつれて、その時々の⼈たちによってさらに成⻑していくでしょう。今は新作として世に出ていますが、今後演じられる度に作品が育っていき、いつか完成を迎えることができればと思っています。

その時、この作品が『古典』に変わっていれば良いですね。そんな⼤それたこと⾔って良いのかわかりませんが、笑われても、⾺⿅にされても、夢を語るのは⾃由だし、お⾦はかからないし、これからの執筆活動の活⼒にもなるので良いではないですか。まだまだ発展途上にありますので、温かく⾒守っていただければと思います。形に囚われず⾃由な発想で⾊々なことに取り組んでいきたいと思っています。

Kouda-kikaku代表  幸⽥友⾒